私がうつ病と診断されるまで①
「うつ病です。明日から会社は休んだ方がいいですね。休職できますか?」
初めて行った心療内科で、お医者さんにそう言われたときは、本当にびっくりした。
『え?休む?明日から?あと3カ月で今のプロジェクトが終わるのに?』
自分の中では、専門医に話を聞いてもらって、薬を処方してもらうだけだと思っていた。あと3カ月間、今のプロジェクトを頑張れば解放されると思っていたから。
「今、骨折している状態だと思ってください。その状態であと3カ月もジャンプできますか?これ以上悪くなると、起き上がれなくなりますよ。」
その言葉で、恐る恐るも次の日から休むことに納得した。
私は外資系企業で働いていた。ハードワークの多い、いわゆるバリキャリ系の会社だった。転職して3年目だった。
数カ月~数年のプロジェクト単位で仕事に入るため、プロジェクトが変われば働く場所も、一緒に働く人も変わる、そんな環境だった。
当時のプロジェクトに入って2カ月が過ぎた頃、仕事中の手汗が気になるようになってきた。パソコンのキーボードに汗の水滴がつくほど、異常に手汗をかくようになった。
次第に指が荒れるようになった。手汗で指先がふやけ、皮がぽろぽろ剥けた。
自分のぼろぼろの手を見るのはとても嫌だった。
同時期から胃痛、胃のけいれん、吐き気、頭痛などの症状が出ていた。
その頃にはどんなに仕事で疲れていても、朝方まで眠れない、という状態が続いていた。
自分の興味に合った仕事内容で、自分で希望したプロジェクトだった。
上司からは期待もされて、必死だった。
仕事はやってもやっても終わらなかった。常に仕事のことが頭から離れなかった。
大好きだった飲み会も、友達からの誘いも行く気にもなれず、時間もなく、ほとんど断っていた。
彼氏との電話で、毎晩毎晩「仕事がしんどい。」と泣くようになった。”めそめそ”ではなく、”わんわん”と大泣きしていた。
もうだめだ、と思ったのは大型連休明けだった。
前日はほとんど眠れず、会社に行ってメールを開いた途端、また異常なまでの手汗が出だした。
連休中、私の手荒れはずいぶんと良くなっていた。
また手がぼろぼろになる ———
そう思ったら涙が溢れて、トイレに駆け込んだ。
胃がけいれんし、もうだめだと思った。
そのまま会社のメンタルヘルス相談室に行き、心療内科へ行くよう勧められた。