「好きで、好きで、好きで」の裏側
私は既婚彼のことが、大好きだった。
優しい顔、体型、ファッション、低い声、匂い、キスの味、肌の触り心地・・・
五感すべてで好きだったと思う。
匂いなんかはもう遺伝子レベルで好きだったんじゃないかな。
加えて、同じものを感じた時に同じ感想をもつ、価値観の合う人だった。
そうすると、自然に2人での生活が簡単に想像できた。
もし一緒に住んだら、こんな部屋にしよう、週末はここにお出かけしよう、晩ご飯にはこれを作ろう、などなど。
完全にお花畑。
不倫関係が終わった今思えば、私は”自分の目に映る彼”しか見えていなかった。それなのに、彼の全てを愛したかのように、「好きで、好きで、好きで」どうしようもない状態になっていた。
本当は、誰かの夫であり、父親でもあるのに。
寝てから仕事に行くまでの彼が、休みの日の彼が、どんな風なのか知らないのに。
彼は私の表も裏も、すべて見えていたと思う。
私の家にも来ていたし、毎日毎日メールをし、交友関係も知っていたから。
その上で私のことをとても大事にしてくれていた。
可能な限り最大限私に会いに来てくれ、毎日毎日遅くまでメールをしてくれ、全身全霊で「好き」と伝えてくれていた。
でも私は、家で過ごす時の彼を知らない。想像するだけで嫉妬でおかしくなりそうだったから、知ることも避けていたと思う。
だからずっと不安で、心のどこかで彼のことを信頼できなかった。
果たして、彼の裏を知っても、彼が”夫”のとき、”お父さん”のときを目の当たりにしても、「好きで、好きで、好きで」いられたかな。
たぶん無理だった。嫉妬深い私には、受け入れられなかったと思う。
不倫はもう終わり。これで良かったの。
彼と別れた日
このブログを始めるきっかけとなった、既婚彼と別れた日のこと。
私は数か月前から地元にUターンし、彼とは遠距離状態になっていた。
近くにいる頃からあまりの辛さに「もう終わりにしなきゃ」と思っていたから、物理的に会わなくなれば、彼への思いもどうにか吹っ切れるだろうと思っていた。
でも、引っ越してからも、以前と変わらない毎日のメールのやりとり。
今日あった他愛のない出来事を話したり、「会いたいよ」「家には帰りたくない」「好きだよ」「また絶対に会える」と言われたり、『たら』『れば』で盛り上がったり。一向に気持ちは吹っ切れない。
むしろ会えない分、彼からの気持ちを直に感じることができず、勝手な想像でどんどん苦しくなっていった。
きっかけは自分の携帯の検索履歴。
いつのまにか、私の携帯のヒストリーは「本気の不倫」「別れ」「離婚調停」「離婚しない理由」「仮面夫婦」など、ダークな内容ばかり。
知恵袋や発言小町をどれだけ読んだことか。
真っ黒になっていく自分が嫌で嫌で、これって健全じゃない、もう本当に終わらせなきゃ、と心から思った。
その日、彼といつものようにメールしながら、普段は極力避けてきた彼の家族のこと、特にお子さんに対する気持ちを聞いた。
この手の話をすると、私は嫉妬で彼のことが一時的に大嫌いになる。
そしてそれ以上に、自分のことが大嫌いになる。
それを自分でも知っていたから、あえてこの話を、いつもより落ち着いて、深く聞いた。
もう迷わないために。もう、終わりにするために。
そしてメールでこう伝えた。
『あなたのことを考えると、私は自分のことが嫌いになる。このままでは私は幸せではないから、もう二度と連絡しない。二度と会わない。あなたの連絡先も消すね。』
彼は「友人としてでも連絡はしたい」と言ってくれたけど、私が折れないのを見て、納得してくれたようだった。
『これまでありがとう。体に気を付けてね。おやすみなさい。』
これで、私たちの1年6カ月が終わった。
泣きながら、彼のメールを、着信履歴を、連絡先を消した。
もう会えない寂しさ、2人が結ばれる未来がない悲しさ、選ばれなかった悔しさ。
涙が次から次へと溢れて、眠れなかった。
私は彼のことが好きだった。彼と結婚したかった。彼との家族を持ちたかった。
彼のことは恋愛対象としか見られない。
友人としていられるのなら、別れなんて告げない。
きれいさっぱり終わらせたようで、
このブログを書きながらも泣いてしまっている始末。
もしかしたら彼から連絡がくるかも…と期待してしまっている始末。
彼も同じように苦しんでいてほしい、私のことを一生好きでいてほしい、と思ってしまっている始末。
情けないなあ。
少しでも早く、遠い思い出にできますように。
はじめに
つい数日前、彼にお別れを告げました。私はアラサー独身、彼は8才年上の妻子ある既婚者でした。
何度も別れようとしてはヨリをもどし、1年半ほどお付き合いしました。
ベッドで彼からのメールを消しながら、着信履歴を消しながら、
涙が溢れて止まりませんでした。
次の日、泣きはらした自分の顔に嫌気がさしつつも
気分を入れ替えるためにカフェに行き、思いの丈をノートに書きなぐりました。
これまでの自分の思いを、これでもか、これでもかと。
涙をこらえきれず、でも公の場で泣くのも恥ずかしく、何度もお手洗いに逃げ込みました。
その日、自分の気持ちが少し落ち着いていることに気が付きました。
もっともっと書きたいことがあるような気がする。
そんな気持ちでこのブログを始めます。